「正しい呼吸法」
それでは、前々回学んだ「姿勢法」と、前回学んだ「ブレスの入り口」を基に、今回は正しい「呼吸法」のやり方についての説明です。
発声するためには、息を吐く必要があります。
なぜなら、息を吐いたときに初めて、声帯が振動して声になるからです。
息を吐くには、肺の中の空気が少ないと絞らないと吐けませんが、空気の量が多いと楽に吐き易いです。
更に、肺にスムーズに空気を送ったり、スムーズに息を吐いたり出来るようになるように、横隔膜、腹筋、背筋等を利用する呼吸法を「腹式呼吸」と言います。
「腹式呼吸」は、別名では横隔膜呼吸法とも呼ばれていますが、無理なく声帯を振動させることが出来、又、最大のパワーが発揮出来る呼吸法です。
そのため、歌手や演劇家、ナレーター、又セミナーや営業等で声をよく使う方々は必要不可欠とも言える大切な訓練です。
しかし多くの方が、腹式呼吸とは逆で、横隔膜筋等が使えなくて、すぐに声、身体が疲れてしまう胸式呼吸をされています。
特徴は、すぐに喉が痛くなる、声が透らない、声が枯れる、大きな声が出ない、高い声が出ない、声が裏返る等々、悪い方にキリがありません。
うちの受講生は、既にステージで活動されている方や、ボーカルスクールの先生方も多いですが、やり方を間違って練習されてた方が多いのが、残念ながら現実です。
是非、ここで正しいやり方を学習して行きましょう!
それでは、実践して行きます。
立ってでも座ってでも構いませんが、先に学習した姿勢法を使っての状態でです。
息を吸う場所ですが、前回に説明した鼻、口、鼻口両方、どの場所からのブレスを使って頂いても構いません。
肩の力を抜いて、足は軽く開いて、顎は軽く引いて、身体を上方に伸ばして立ちます。
座っている場合も、顎は軽く引いて、上半身は上方に伸ばします。
そして「ゆっくりと」息を吸い込みます。
この時、お腹が徐々に膨らんでいくように意識して吸いますが、4~5秒くらい掛けて、「ゆっくりと」吸い込みましょう。
この時、自分の入る限界の半分程の息の量が入れれば十分と思って下さい。
無理して、勢いよくたくさん吸い込もうとすると、身体が力んで、息が上部に上がってしまい、胸式呼吸になりかねませんので、最初は少しの吸い込みで結構です。
次に、吸った息を吐きますが、肩の力は抜いたまま、口を少し大きめに開けて吐きます。
口を大きめに開けることで、出口が大きいので、息はすぐになくなりますが、口内の空気抵抗が少ないので楽に息が吐けます。
よく口をすぼめて、シューという音を立てて吐く人がいますが、口内が狭くなり、空気抵抗が出来てしまい、力んで吐いてしまいかねないので、初心者の方には、この吐き方は向かないと思います。
そして吐く時、お腹は無理にへこまそうとすると力んでしまうので、へこみは意識せずに自然に吐くと必要な分だけへこみます。
呼吸法の基本は、寝てしまうくらいに楽なものです。
このゆったりとしたブレスを、5回から10回やりしょう。(回数に制限はありません)
慣れてくると、横隔膜、腹筋、背筋が柔らかくほぐれて来るような感覚が感じられるようになります。
十分に、ほぐれて来たら、徐々に吸い込みを強くして、一瞬で大きく素早い吸い込みも出来るように、毎日根気よく訓練して行きましょう。
以上、簡単ではありましたが、「正しい呼吸法」の説明でした。
福井哲法